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謎のモヤッと感は置いておいて。
「日が暮れてきたね」
「海に沈む太陽……キレー」
いつの間にやら太陽は大分傾いていて、その美しい光景にあたし達は言葉もなく見入った。
「……ハッ!ホテルに戻らねえと夕食抜かれる!」
そのラインの言葉で思い出した。イト先生が「遅れた奴は夕食抜きなー」と気怠げに言っていた事を。
「急いで戻るぞ!」
「じゃあ俺らも帰ろっか」
「そうだな」
使い魔達と別れて、走りながら水を被って身体を綺麗にし、風魔法で乾かしてホテルに駆け込んだ。
「ギリギリセーフ!」
「おー、遅かったなお前ら」
「セーフだよね?先生!」
「……まあいいにしといてやるか。とりあえず着替えてこいなー」
ロビーに集う生徒達はすでに制服を纏っている。ちらほら水着で着替えに向かう生徒もいるが。
あたし達も小走りで、部屋に向かったのだった。
夜。昨日と同じように砂浜で日光ダメージを癒し、部屋に戻ろうと廊下を歩いていたら、ちょっとした広場のようなスペースの前を通りかかった。
本棚が並び、1人掛けのソファーがいくつか置いてある。
そのソファーは1つだけ埋まっていた。
ソファーに深く腰掛け、無防備な寝顔を晒しているのはデイヴィ・リーガルだった。起きている時は気を張っているのか、普段大人びて男前な顔立ちは少し幼く見える。
ちょっといたずら心が湧き上がり、人差し指を滑らかな頬に近付けてみる。
あとちょっとで触れる、というところで、そっと指を掴まれた。
「あら、おはよう」
「ああ……」
奥まってるとはいえ公共の場だし、ツチノコさんなんだから寝入ってる訳なかったね。
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