第22章 邪神のお散歩

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『夕、今暇でしょ?』 唐突に邪神がそんな事を言った。 (別に暇じゃないわよ。鍛錬してるじゃない) あたしは邪神と内心で対話しながら、流れる汗を拭った。 臨海学校は何日か前に終わり、もう夏休みの予定はない。なので涼しくしたこの空間に入り浸って鍛錬するか、ギルドで帝達向けの依頼を一気に受けるか、という生活をしている。 お陰で《魔神》の名は知らない者がいない程の知名度を誇る、らしい。 今はルシファーとセラフィム相手に神力を使う練習をしているところだ。 この2人、仲がいいだけあってコンビネーションは抜群なので、かなり厳しい戦いである。 「ほら夕ちゃん!会話してる暇はないぜ!」 セラフィムが神力の塊を撃ち出してきたので、咄嗟に魔力で壁を作るも、すり抜けて直撃する。 「夕、復唱しろ。『神力の攻撃は神力でしか防げない』」 「『神力の攻撃は神力でしか防げない』」 「咄嗟の反応を取ろうとするとお前は忘れるから注意しろ」 「はーい」 そして神力の傷は神力でしか癒せない。 あたしは腹に空いた大穴を神力で治癒しながら、寄ってきたセラフィムとルシファーを見上げる。 「でもま、ちょっと根詰めすぎかな?今日はのんびりするのもいいかもな」 『じゃあさ、ボクに身体貸してよ!』 「許可するわけねーだろ」 『食べ歩くだけだから~!』 「まあいいんじゃない?1日くらいなら」 普通の人には声が聴こえない邪神の言葉を軸に会話しているので、傍から聞いたら意味が分からないだろう。 現に会話が聴こえてたらしい雷帝が首を捻ってるし。 『夕もこう言ってるし!決まりね!今日1日はボクの日だ!』 「勝手にしろよもう……」 ルシファーが頭が痛そうに首を振った。
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