第22章 邪神のお散歩

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*   *   * 「……で、何で俺ぇ?」 魔王は実に嫌そうな顔で隣を歩いている。 「一番ボクと交流があるからかな。あとはまあ、他の人達怖かったし……」 「まあね、ルシファーやらセラフィムやら、対極のオリジンよりかは俺の方が楽だろうけど……子守なんてした事ねえよ俺」 「失礼な。ボクは子供じゃないよ」 夕の身体を借りてボクが外に出ると、瞳と髪の色が変わる。きっとボクが身体を持った場合の色なんだろうと思うけど…あ、瞳は金、髪は白になるよ。 「見た目だけじゃなくて邪気も増すぞ」 「あー、この子はまだ神じゃないから読心術を防げないのかぁ。ヒトの身体って不便だなぁ」 それにしても邪気、ね。しまいたいのはやまやまだけどしまった事なんてないからどうしても上手くいかないんだ。 ボクが顕現する時は暴れ回る時って決まってたから、そんな気を使う必要もなかったしね。 「……傍迷惑な奴だぜ」 また魔王に心を読まれた。全く、本当不便だ。まあこの身体がないと美味しいものを味わう事も出来ないんだから一概に悪いとも言えないんだけど。 魔王に掴まって、王都に【転移】する。 ボク自身転移が出来ない訳じゃないけど、魔法を使うのが1000年ぶりだと言ったらやめておけと止められたのだ。 「おい、フードはちゃんと被っておけよ。ここには夕の知り合いも多いんだからな」 「はいはいっと」 長い髪をしまって、紺色のローブのフードを深く被る。 「よーし、食べ歩くぞ~!」 「……はぁ」 転移先の路地裏から意気揚々と魔王を引っ張りながら出て、大通りに向かった。
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