第22章 邪神のお散歩

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「【ライトチェーン】!」 突然、ボクの身体がぐるぐる巻きにされた。 『ルテ、この場を離れて』 『はいよ』 魔法を放ってきた人物を見て、いち早く状況を理解した夕は魔王を巻き込まない為だろう、別行動を指示した。 素直に去りゆく背中を眺めていたら、術者である金髪の女がこちらを睨みつけてきた。 「僅かだが邪気を感じる……貴様、何者だ!」 『あら、邪気が分かるなんて意外とやるのね、近衛騎士団長』 ふーん。この人近衛騎士団長なんだ。 「だんまりか……ひとまず貴様を連行する!」 あーあ、楽しかった食い倒れツアーももう終わりかぁ。まだ一番楽しみにしてたチョコ食べてないんだけどな。 『後で解放されたらチョコレート専門店にでも行きましょ』 (うん!) 鎖を乱暴に引っ張られながら、ボクは近衛騎士団長の後ろを歩く。 この人、邪気を感知したまではよかったけどボクの口も塞がないで、魔法とかで攻撃されたらどうするつもりなんだろうね。 「入れ」 ドン、と背中を押されて入れられたのは、牢だった。 「え~、ボク何もしてないのに牢に入れられるの?」 「黙れ。邪気を放っている時点で罪人も同然だろう」 今、ボクの存在自体が罪人みたいな言い方したよね? さすがに傷つくよ? (めんどくさいなあ、殺しちゃおうかなぁ) 『こらえて、邪神。この人を殺すと厄介な事になるから』 (夕に迷惑は掛けられないからね。冗談さ) 少し、本気だったけどね。 「手を出せ」 両手を揃えて差し出すと、魔封じの手錠がガシャンと掛けられた。 「騒ぎを起こすなよ」 そう言い捨てて去っていく近衛騎士団長の背中を見送りながら、ボクは呟く。 「暇だなあ……」
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