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「ボクが邪神だとして何だっていうのさ」
『あ、邪神がかなり苛ついてるわよレナリアさん』
女は唇を固く引き結んで、そして開いた。
「フードを外して」
「は?」
「あの子が邪神に取り憑かれているかもしれないなんて一大事だわ。あの子かどうかを確かめないといけないの」
(あの子って夕の事?)
『多分ね』
夕は何だか現状を面白がっているような気がする。
ボクは不快極まりないんだけど。
「……顔見せる代わりにここから出してよ」
「それは無理よ」
「何で?ボクと宿主は共存してるんだよ?」
「そんなわけないわ!邪神に身体を乗っ取られたら自我が消えるって……」
「取り引きしてるから消してないの!あーもーめんどくさいなあ!」
ボクが苛々と手を振ると、それに合わせて邪気がぶわりと広がった。
「う…っ」
「何だ……この濃密な邪気は……」
「もう時間切れ。ボクは行くね。バイバイ」
返事を聞かずに【転移】を発動した。
「……【転移】出来るんじゃん!我慢して損した!」
『城の牢なんて早々入れないわよ?貴重な経験積めてよかったじゃない』
「よくないよ……」
そんな経験積んでも嬉しくないよ……。
『まあまあ、出れたんだしチョコレート専門店行きましょうよ』
(うん!そうだね!)
そこらで売ってるチョコレートとは一線を画す美味しさ。
ああ、思い出しただけで唾が溢れる!
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