第22章 邪神のお散歩

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若い女性客が圧倒的に多い中で、紺色のローブにすっぽり身を包んだボクはかなり浮いていたけど、気にしないでチョコレートを満喫した。 はあ、美味しかった。 (夕、今日はありがとう) 『どういたしまして。もういいの?』 (うん、満足したよ) ボクは【転移】で夕の家に戻る…と、怪しいローブ集団が待ち構えていた。 「【ライトチェーン】」 「ちょっとぉ……またぁ?」 本日二度目の拘束、しかも両方光属性。 別に邪神だからって光属性が苦手なわけじゃないんだけど? ボクの漏らした声を聞いたローブ集団に動揺が走る。 「本当にユウと同じ声なのね……」 「でしょう?」 「気配もな」 と、黄緑ローブが突風を吹かせてきた。ぐるぐる巻きにされているから手で押さえる事も出来ず、呆気なくフードは外れる。 「アヤセの顔で金の瞳……邪神に乗っ取られたのか……」 銀ローブが辛そうに言うが、ボクは顔を顰めて言い返す。 「だぁからぁ!ボクらは共存してるの!何なら夕に代わるよ、それならいいんでしょ?」 夕に丸投げする形になってしまったが、こいつらは夕の知り合いっぽいしどうにかなるだろう。 *   *   * ふてくされた邪神に身体の支配権を譲られて、目を開ける。 動揺した帝達がこちらを注視していた。 「ユウちゃん…なのかい?」 ギルマスが警戒した様子で尋ねてくるので、苦笑いで答えた。 「邪神の言っていた事は本当よ。身体を共有してるの。 ……あなた達に最初に言っておけばよかったわね、今日は邪神が食べ歩きしたいからって身体を貸したのよ」 「食べ歩き…?」 邪神のイメージとはかけ離れた理由に、皆ポカンとしている。
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