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「邪神の事はどこまで知ってる?」
「ええと…肉体を持たず、一定以上の強者でなければ取り憑かれても邪神の力に肉体が耐えきれない。ひとたび世に顕現すれば宿主を殺すまで破壊と災厄を撒き散らす……とかそんな曖昧な感じよ」
「まあ、マイナスイメージがすげえよな」
『あながち間違いでもないね』
あたしよりも詳しかった。
まあ現地人で権力者だからね、彼らも。
「大体そんな感じなんだけど、この前あたしが邪神の宿主として目を付けられてね。
何とか交渉して居候させる代わりに味覚をリンクさせるって契約を交わしたわけ」
「邪神と交渉したの?」
「案外話の通じる相手よ?」
呆れ気味に尋ねられたので、すっとぼけてみる。
そういう事が言いたいんじゃないよね、分かる。
「そうじゃなくて……ああもう、とにかくユウが無事でよかったわ!」
「これからも時々邪神が表に出るかもしれないからよろしく」
純粋に心配されているのが分かって照れ臭かったので話を逸らしたのだが、バレバレだったようで失笑された。
「分かった。邪気が分かる人間は特殊な訓練を積んでいるか本能で察知出来るほど強いかだから、そんなに数はいないんだ。判別出来る人間に周知しておくよ」
「お願い」
かくして邪神は大手を振って王都を歩けるようになりました。
捕まったりして無理かなと思ったけど、よかったね、邪神。
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