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「あの《魔導》様が依頼を受けてくださるなんて……」
あのって何?悪い意味じゃないよね?ね?
「詳しいお話をお聞かせ願えますか」
「詳しい話…?依頼書に記載してある通りですが……」
男性(おそらく彼がサンク・ラジェルだろう)が怪訝そうな顔をした。
「どういった経緯で依頼書の人物を探す事になったか、などの詳しいお話です。銀髪は早々いませんが、間違えて連れてくるのも問題でしょう?」
「それもそうか……」
「あなた……」
目を閉じたサンクさんの手に自分の手をそっと添える女性。
あーあー、何て茶番。
「……その依頼書の人物は我々の息子です」
「家出でもされましたか」
「……いや……追い出したのです」
「追い出した?」
あたしは分かりやすく片眉を上げてみせる。
同時に夫妻の肩が跳ねた。
「あの子が……5歳の時に、魔力を暴走させ……それに恐怖した我々はあの子を追い出しました」
「僅か5歳の子供を、ですか」
「……」
夫妻は俯いて、無言。
あたしは質問を変える。
「それで、なぜ追い出した子供を今更探すのです?」
「会って、謝りたいの…!そしてまた家族として…!」
ああうん、前半はともかく後半は無理あると思うけど。
サンクさんも微妙な顔してるし。
でもま、謝りたいって話なら全帝を連れてきてもいいかもしれない。
せっかく同じ世界に家族がいるんだから、和解しておいた方がいいと思うのだ。
「あたしの知り合いに、銀髪の男がいます。年齢は19歳」
夫妻は揃って息を呑んだ。
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