第2章 月夜見の実力と追っ手

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『ニンショウコードヲイッテクダサイ。』 …は? 認証コード? カタコト・棒読みな言葉が祠から聞こえてくる。 無機質で機械じみた声は女のようであり、男のようでもあった。 そんな声は、不気味さと不思議さを感じさせる。 それより… 「認証コードって何なんだ?父上はそんな事言ってなかったぞ。」 僕はそう呟く。 慶兄や向日葵は呆気に取られている。 追っ手達は僕達を警戒しているのか、その場から動く気配がない。 草や土を踏みしめる音や武器を動かす音さえない。 …というか、これ敵方チャンスだろ… 僕達武器さえ構えてないんだし… そもそもこっちは背中向けてるし… なんか抜けてるよな… ま、近づかないのは良い判断じゃないかな? 今だって、視認してないのに敵いるって認識してるし。 この状態でも殺ろうと思えば殺れるし。 「確かに…だが、このままだと確実に殺られるぞ!…如何する?」 呆気に取られていたはずの慶兄からの返しに、思わず顔を向けた。 そこにあったのは焦りと不安がよく分かる顔だった。 視線は、って…いや…そんな縋るような視線向けられても… そんなん…こっちが聞きたいし! …なんて言えるわけもなく。 「…とりあえず戦闘態勢になって、それを維持する間に考える、とかですかね?」 今出来る事を絞り出した結果、無難な所に落ち着いた。 つか、こんな状況で冷静なやつとかいたら、そいつ経験者かチートとかの有能者だろ! 普通ありえないから、チートとか。 「う~ん、それしか無さそうだね。」 微妙なニュアンスだが、肯定された。 ならば事は決まった。 愛刀の柄に手をかけ、戦闘態勢に入る。
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