第2章 月夜見の実力と追っ手

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2人が離れた事を気配で確認し、僕はさらに深く意識を集中させていく。 相手の息遣い、心音、動作…その全てを認識下に置くように… 「…なあ。お前の剣術って殺人剣術だろ?そっちの2人とは雰囲気がまるで違う。雰囲気だけなら、人間じゃないぞ。」 背後にいる男が不意に話しかけてきた。 声に震えはなく、単純に気になったから斬り合う前に聞いておきたかった、というところなのだろう。 こっちからすれば、傍迷惑な事だがな。 「…当たりだ。だが俺は人間だ。」 無感情で抑揚のない、冷えた声が空気を切り裂く。 「そうか……で、最後に1つ聞く。お前、年はいくつだ?」 さっきから…何なんだ、この男? 斬り合う定めの者と話すなど…呑気にも程がある。 漫画やアニメじゃないんだぞ…これは。 待った無し、斬られたら死ぬ…リアルなんだよ。 それを分かってんのか? 「…8歳だ。これで満足か?」 殺気を瞳に集中させ、鋭く睨む。 こちらの意図を察したのか、男は閉口した。 もう、時間的猶予はほぼ無い。 早めに片付けるとするかな。 両者共に剣を構えた。 先に斬りかかって来たのは後ろの男。 その刃を『後ろを向いたまま』避け、素早く後ろに振り上げた右足の靴底で蹴り飛ばす。 動揺の色を見せる男に、左足も振り上げ、バク転しながら両足で剣を蹴り折る。 そして折った剣身を、着地して直ぐ右回し蹴りで心臓目掛けて弾き飛ばす。 「ゴハッ!」 その間、僅か0.5秒。 何が起きたのか把握出来ぬまま、あの世行き。
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