第2章 月夜見の実力と追っ手

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豪蹴折(ゴウシュウオリ)と呼ばれる不意打ち戦法で体術の一種だ。 まあ…普通は靴に鉄を仕込んだ上でしか出来ない。 普通の靴では、逆に足が斬れてしまうからだ。 僕の場合、体に魔力を纏わす魔体術、(マトイ)を利用してやっている。 正面の男は、僕が背後の男を消去すると同時に、斬りかかってきた。 何の迷いもない純粋な太刀筋だ。 …だが、それではこのモードの僕は倒せやしない。 少し体をずらしただけで避けられるくらいのレベルだから。 ずらした状態から、がら空きの懐に入り込み、愛刀1つで何度も何度も無数の十文字を刻みつける。 十封字斬(ジュウフウジギリ)。 それは相手の腕が伸びきり、武器が身に届かぬ状態で、身体に何千個もの十字傷を付け、攻撃をする間も与えず、腱を全て斬り、動きを封じる技。 殺人剣術の一種だ。 こんなの喰らって生きてたらもはや人外の存在…バケモンだ。 一般的には、これを出来る僕の方が、バケモンに見えるだろうが。 「こんなものか、な?」 グルグルと視界が歪み回ってきた。 そろそろ…time limitか。
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