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「はい。まあ、理由は御察しの通りです。」
一応答えなければ、問いの答えを聞く前に会話が途切れそうだし。
「だよなぁ。んー、説明か。聞くより食べた方が早いだろ?ほら、百聞は一見にしかずって言うし。」
少し困ったような顔でそんな事を提案してきた。
答えた結果がこれか。まあ、理論的には分からなくもないがな。
「それも…そうですね。では、そうします。」
少し悩んでる風に見せてから、僕はコクリと首を縦に振った。
まあ、あの飴が幾らするかは知らないが。
一銭も持ってないんだ。
買ってもらうしかないだろう。
「了解。じゃ、そこでちょいと待ってな。大人しく待ってるなら、買った飴を渡してやる。うっかり迷子になるなよ。」
チッ、安易に逃走すんなよってか。
どのみち、こんなに明瞭な隙を見せられたところで、逃げ出すわけがない。
本当の意味で、不意を突かないと意味が無いんだ。
兵士長殿は、只者ではないようだからな。
軟禁が監禁に変わるか、診察が拷問にすり替わるか…全ては己の行動次第。
安全第一&慎重に行動するべきだろうな。
…何も策を講じてない訳ではないのだから。
それに…小腹も空いたし、あの飴とやらも気になる。
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