第1章

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雨上がりのぬかるんだ道。 濡れた草木は、射し込んだ日光によってキラキラと幻想的に輝いていた。 とはいえ、道自体は綺麗とはかけ離れた状態の泥まみれだ。 歩くのに抵抗はある。 そんな道を、親友の栞と歩いていた明が、何気なく話し出す。 A「やっと雨上がったねー」 B「そうね」 A「いやー あたし雨って苦手でさー こんな雨上がりの日って、清々しい気分になるのよね!!」 B「そうなの? 私は雨の日も情緒があって好きだけど」 A「これだから本ばっか読んでるインドアは」 B「なによ 別に良いでしょ?」 A「悪いなんて言ってないでしょ ただ、こんな日は体を動かしたい衝動に駆られるんだよねー」 B「なによそれ これだからアウトドアは」 A「あー なんか"空"飛びたい!!」 B「なによ突然?」 A「え? なんか無性に空って飛びたくならない?」 B「いや、意味分かんないから 明ったら、何を言ってんの?」 その時。 A「あ!! "空"発見!!」 言って、明は大きな水たまりに向かって走り出した。 B「ちょっと! 明!?」 驚き、明の後を追いかける栞。 そして明は……。 A「やっほぅ!!」 傘を無造作に放り投げると、勢いよく水たまりを飛び越えた。 側にいた栞は、明を受け止めながら、水たまりに目をやった。 そこには、水たまりに映し出された青空の中を、無邪気に飛んでいる明の姿があった。 B「そういう事ね」 A「ほら!! 栞も一緒に!!」 B「子供か 仕方ないわね」 A「はい!! せーのっ!!」 A「やっほぅ!!」 B「やっほぅ!!」 何気ない日常の中で、非日常を見つけ出す。 そんな楽しみができるのは、きっと若者の特権なのだろう。 他人に迷惑をかけなければ、周りの目など気にしなくていい。 とにかく今を楽しむ。 きっと、それが青春というものだから。
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