2人が本棚に入れています
本棚に追加
キブは物心ついた頃から幻を見ていた。
おそらく、もともとは生きていた人間の記憶のカケラ。
ここ旧校舎は、いつもそのカケラ達で賑わっているらしい。
キブはその中でギターを掻き鳴らし、歌を歌うのだった。
少女はいつもオムライスを作っていた。
大根を細かいさいのめに切って、コンソメスープを作る。
鶏もも肉と玉ねぎと人参を刻み、熱く熱したフライパンに油を塗って粗く挽いた胡椒で炒める。
水分が滲み、玉ねぎの色が変わると、ウスターソースを少し流し入れて、フライパンに蓋をする。
火力を弱くして、ごはんを準備する。
キブはその光景を眺めながら、アンプを繋いでいないエレキギターで「おもちゃの兵隊の観兵式」を弾いた。
最初のコメントを投稿しよう!