家庭科室の乙女

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白いごはんを投入し、その上からトマトケチャップとおたま一杯のコンソメスープをかけて、火力を上げて、炒めたチキンと野菜と混ぜながら丁寧にごはんをほぐしていく。 水分が飛んで、チキンライスにトマトケチャップのこげ色がつき始めた頃、蓋をして火を止める。 卵を2つスープカップに割り入れ、卵白を切るように溶いて、ガラスのボウルに移し、生クリームを注ぎ入れる。 コンソメスープには、ほうれん草と細かく切った豆腐を追加する。 その間に、おもちゃの兵隊が行進を終えて、キブは天面が切れてスポンジが見えている椅子に腰掛けた。 「魔法みたいだな」 「魔法みたいなものかな。誰も食べないオムライスをずっと作ってる」 蒸らしたチキンライスを白い皿に盛り付けて、フライパンに薄く水を張って火にかける。 沸騰したところで流しに熱湯を捨てると、キッチンペーパーでケチャップ色の水滴を拭き取り、また火にかける。 「俺は料理しないんだが、ウチの母親より手際良いよな」 「幽霊でも料理の腕は上がるものよ。あなたのお母さんが幾つか知らないけれど、ひょっとしたら私の方が年上かもね」 「ふぅん」 熱くなったフライパンにバターを落として、板面に広げる。 卵を軽く混ぜ直しながら、少女は1つため息をついた。 「洋食屋さんになりたかったな」 ふんわり混ぜながら卵を焼いて、半熟のプレーンオムレツに仕上げて、チキンライスに乗せる。 卵を溶いたスープカップに、熱いコンソメスープを注ぐと、カップに残った卵が羽衣みたいに柔らかく固まる。 「あなた、お客さんになってよ」 少女はキブに言った。
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