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今は着なれないこの制服だって、自分のモノみたいに感じてる。
いつもは大人しいアイツだって、今にも弾けてしまいそうな笑みを浮かべて、こっちを見ていた。
そうだ、今の自分たちはらしくない。
だけど、それがこんなに心地好いなんて……
木の葉の間に空の色を写した、大きな水溜まり。
いつもは避けて通るそれを、子供みたいにジャンプ、そうしたら、心の中身が弾んで口から飛び出した。
A「大っ……セイコーだぁぁぁっ!」
アイツも同じように弾んで言った。
B「やったねぇ!」
キラキラ輝く雫が、宝石みたいに世界を飾る。
A「バレなかった!オレは自由だー!」
着地と同時に仁王立ちしてみせる。
B「まさか、将也くんがこんなに可愛くなっちゃうなんてね!」
A「どこかのお姉さんが言ってたろ?カワイイは作れるんだよ!」
そう、オレは男だ。正真正銘、身も心も男子だ。
家でも学校でもいつも親の雇った誰かがへばりつき、そういう特殊な俺に好奇の視線でまとわりついてくる女ども……
いつも一人の時間なんて持てなかったこの俺が、この吹き行く湿った風をゆっくり堪能できている……
娯楽もへったくれもないこのド田舎だが、今日は満喫してやる!
ああ、なんて幸せな一日……
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