来栖妃那編 《どこ行った?》

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「いいんだよ、名前なんて何だって。 あの子の住んでる家が分かったんだ。 仕事場も知ってる。どっちかに行けば会える」 ふんぞり返って威張るように言うと 「会えるって、会いに行くんですか?」 訝しげに見る中田に向かって 「当然だろう?もうすぐ年末休みだし。 俺は行ってくるつもりだ」 船でしか行けないと思ってたけど 調布からセスナが出てるって聞いたし。 ヘリを要請しなくても それだったら俺の船酔いも心配ない。 「わかってるんですか? あなたはお見合いをして 結婚が決まってるんですよ?」 「なあ。結婚が決まってるのに なんでわざわざお見合いなんてするんだ?」 そもそも、そこが疑問だった。 「来栖社長からの要望です。 親の決めた政略結婚ではないってことを 世間に思わせるためにでしょうね」 はん!って鼻を鳴らしてる。 社長の俺の目の前で堂々と。 「その見合いだか、結婚だか。 どうしても受けなきゃダメか?」 「当たり前でしょ! もう見合いの日時も決まってます。 うちの社員と向こうの社員とで 結婚に向けての合同チームもできてます!」 いかにも会社同士の結婚だ!って 世間はそう思っちゃうようなことをしている。 矛盾しているようだが そこはいいのだろうか? それよりも・・・・
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