来栖妃那編 《どこ行った?》

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「じゃ、じゃあバイトは? そこも辞めたって事か?」 俺よりも背の低いマサヨ婆の両肩をつかみ 前へ後ろへと揺すって問えば 「次の日にな、新しい若子が来とった」 「アカゴ?」 「若い女っ子のこったい!」 意味が分かんねんだからよ。 俺にわかりやすいように喋ってくれよ。 「その子は?ここに住んでんのか?」 全部を雨戸で覆われた家を見上げれば 「いいんや。そこのホテルに泊まっとったい。 まあ、さっきの船で国に帰ってったがな」 「・・・・・・・・」 「つい昨日だったかな?おとといか? 泉田のせがれがやってきてな ここを片付けて帰ってったな」 呟くように話すマサヨ婆。 マサヨ婆なりに恭子を可愛がってたんだ。 すごく淋しそうな顔をしている。 「ワレ、恭子に振られたんか?」 「振られるのなにも・・・」 お互いの名前も年齢も 何も知らない俺たち。 こんな関係、なんて説明をすればいいんだ? 「ああ。まだ迫っとったところかぁ?」 淋しそうだった顔から ニヤッて笑顔が戻ってる。 「・・・・・・・そうだよ」 厭らしい顔のマサヨ婆あに認めてやれば 「まあ。訊きたいことがあるんじゃったら 泉田のせがれに訊くこったな。 連れて来たのはあいつだし」 「あっ!そうじゃん!」
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