来栖妃那編 《決戦の日》

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________________ _____________ __________ 「妃那ちゃん!あなた そんな格好で行くの?」 階段から降りてきた私に詰め寄る母に 「行くわよ。いいでしょ?」 平然と言い切って、その横を素通りし 唖然とした顔で私を見送る母を残して 使用人が開けてくれた玄関から外に出た。 今日は私の見合いの日。 結婚が確定している、形だけのお見合い。 結局相手の写真も釣書も 何も確かめずに今日を迎えた。 見る気にもなれない。 写っているのは常習犯じゃないもの。 あの人が写ってるんだったら 棚の上にでも飾っておくわよ。 「おはようございます妃那さま」 運転手が後部座席の扉を開けて待ってる。 「おはよう。お願いします」 挨拶を返してから後ろに乗り込めば 「お待ちくださいよ妃那さま!」 あとから慌てて泉田が乗り込んできた。 「何をしに来たの?」 顔も見ずに問いかければ 「私も同行いたしますので・・・」 見張り役だろう。 父は先に会社に寄ってから料亭に来ると言う。 その父については行かずに 私に付きっ切りで逃げないように見張るため。
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