島田恭子編 《真実の顔》

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「痛っ!髪の毛! ゴムに毛が絡んだ!」 振り上げた手に持つ黒いゴムには 抜かれた髪の毛が数本絡んでいる。 チラッとゴムに目をやる鬼藤さんに 「ハゲたらどうしてくれるんですか! ウィッグを買ってくださいよ」 うちにそんな余裕なんてないんだから。 無駄なお金を使わせないでよね。 「やっぱり。昨日会ったのは お前で合ってたんだな?」 --- あ、シマッタ。 その確認のためだったのか。 「さぁ・・・。何のことだか・・・」 しらばっくれてみたけど 「お前って、髪型とメガネだけで もの凄い印象が変わるんだな」 へえ・・。って興味あり気に 私の顔を覗き込む彼に 「メガネ、返してくださいよ」 「これって伊達メガネ?」 「ちゃんと度が入ってます。 視力悪いんですから。見えません」 「コンタクトにすれば? 俺、こっちの顔の方がいいな」 「コンタクトは不衛生です」 ウソ。本当は不経済だから。
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