島田恭子編 《真実の顔》

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「じゃあせめてさ、髪型を変えない?」 「変えない」 被り気味に拒否る私に ムッとした顔をして 「お前ね、俺はお前の先輩だ・・」 「お父さんではないですね」 「・・・・・・・・・」 ああ言えばこう言う。 不毛な言い合いにもならない。 「ミーティングは? そのために呼んだんじゃないんですか?」 ブスっとした顔を見せつけるように 私をジーッと見ている。 「今日、終わっても帰らないで待ってろ」 「無理です。早く帰らなきゃなので」 「たまには付き合え。 お前、会社主催の飲み会にも来ないだろ」 「部長には許可もらってますから。 ミーティングじゃないのなら お先に帰ります」 油断した彼の手からメガネを奪い 手で髪をひとまとめに持ったまま 「お先でーす」 「あ、コラ!」 とっとこ部屋から退散だ。 こんな所に2人っきりでいたら 私の心臓が爆発しちゃう。 乙女の純情な、ウブで弱々しくて ・・・・・あとの言葉が思い浮かばない。 まあいいや。 とにかく、私の心臓がバクバクうるさい。 耳から心臓が飛び出そう。
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