島田恭子編 《真実の顔》

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部署に戻ってくれば戻ったで 「ちょっと!こっち来て」 引きずられるように給湯室に連れ込まれ 「鬼藤さんとなに話してたのよ!」 サチが見たら『鬼婆』って言いそうな 怖い顔をした逆井さん。 「なにって、仕事のことですけど」 ウソ。仕事のしの字も出てこなかった。 「本当でしょね。 私が補佐を務めている時なんて 一度もミーティングなんてしたことないわよ」 「知らないですよ。 それは鬼藤さんに聞いてください」 面倒くさい。 もう一人駆けつけてくる前に ここもとっとこ退散だ。 「あ、コラ待て!」 引き止められたけど 「仕事があるんです」 サササッと逃げた。 鬼藤さんの補佐に私が任命されたのは 彼ご指名なのは本当のこと。 今まで務めていた逆井さんが 私情を挟んできて 仕事にならなかったからだって。
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