島田恭子編 《真実の顔》

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・・・・・・・・・・・・・ 「___ いただきます」 両手を合わせて合掌。 親はなくても行儀はよくしないと。 親がいないからこそ 私がサチやダイのお手本なんだ。 たとえ、今ここに 誰もいないとしても・・・・・ ポツンとひとりで座っている場所は 社内に唯一あるテラスガーデン。 ガラス張りの小部屋感覚で お茶が飲めるように テーブルとイスも置かれている。 そこで、毎日のお昼は 持ってきたお弁当を広げて食べていた。 独りぼっちで。 同期はほとんどが実家から通っているから 比較的に給料に余裕がある人たちばかり。 だから社食や、外にランチに行っちゃう。 お弁当を買ってきて戻ると言う選択肢は あの人たちにはなさそうだ。 12月の寒風吹きすさぶ時季だけど ガラス張りの部屋の中は暖かい。 太陽が差し込んできて カーディガンを脱ぎたくなるほど。 淋しい気持ちも忘れるほど 心が温かくなれる。
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