島田恭子編 《真実の顔》

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自分のお弁当箱のふたの上にとっぴして 「食べちゃダメですよ」 オニにけん制を入れておいた。 「どうすんだ?これ」 「持って帰る分。 私ひとりだけ美味しいもの食べたら あいつらに恨まれる」 食べ物の恨みは、 たとえ血が半分だけ通った弟妹でも怖い。 「あいつら?」 だれ?って顔をするオニに 「あいつらですよ」 答えるつもりはない。 5切れ中2切れをお持ち帰りするため 3切れと卵焼きと野菜の煮物と シソひじきにお漬物でご飯を食べ進めた。 唸るような声で 「美味ぇー!美味ぇー!」 悶えながら。 だって、箸で切れるんだよ! 入れ歯の爺さんでも平気じゃないかな? 入れ歯の爺さんなんて うちにはいないけど。 まだ子供の歯のサチでも これなら大丈夫そうだ。 うちでとんかつって言えば 安い薄切り肉を重ねたやつだけど・・・ しかも間にマッシュポテトが入ってるし・・・・
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