島田恭子編 《真実の顔》

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バタン!と車の後部座席の扉を閉め 「どうもありがとうございました。 おかげでお迎えに間に合いそうです」 助手席に座るイケメンドクターにお礼を言い 「運転手さんもありがとう!」 運転してくれた彼の後輩さんにもお礼を言えば 「どういたしまして。 いいよ、待ってるんでしょ?」 「ハイ。じゃあ失礼します」 頭を下げてから保育園の園舎の中に入った。 後ろの方で、車が走り出す音が聞こえる。 駅で保育園に遅れる連絡を入れていたら その場にまだいたイケメンドクターが 「良かったら乗って行きなよ」 と、声をかけてくれた。 あの人ひとりだったら断ろうと思ったけど ちょうどスッと横付けされた車には 彼を迎えに来た男性がいたことで 「お言葉に甘えまっす!」 すんなりと乗車。 「いえいえ」とか「気になさらず」とかの 謙遜の言葉なんて1個も出てこなかった。
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