石橋花菜編 《引っ越し》

2/17
2974人が本棚に入れています
本棚に追加
/3000ページ
_______________ _____________ ___________ ホテルのシングルルームのベッドに腰掛け スマホを手にするが 決意がつかずに指が動いて行かない状態。 なかなか連絡する機会もないから あまり会話も無かった相手にかけたいのだが・・ 「よし!」 だれもいない部屋の中で決意を呟いた。 電話帳から相手の名前を探し出し ちょっと震える手で番号をタップし・・・・ 『ハイハーイ!』 陽気な感じで相手が電話に出た。 「もしもし由梨(ゆり)ちゃん? 花菜(はな)おばちゃんだけど・・・」 『ヤダ! おばちゃんって歳じゃないじゃん 花菜ちゃんでしょ?』 「・・・・・そっか」 電話をかけた相手は、姪の由梨ちゃん。 私とは10歳も離れていない。 今は大学に通うために 実家を出て寮で暮らしている。 『どうしたの花菜ちゃん』 最後に会話をしたのがいつだったのか。 思い出すのも苦労するくらい前。 だから自分が この姪っ子になんて呼ばれてたのか すっかりと忘れちゃっていた。
/3000ページ

最初のコメントを投稿しよう!