石橋花菜編 《引っ越し》

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この部屋はこのままにしておこう。 負い目からではなく ここはもう私の部屋じゃない。 れっきとした 次の住人の由梨ちゃんの。 となると私が寝られそうな部屋は・・・ お隣の部屋の扉を開けると そこは由梨ちゃんの父親の寝室。 大きなベッドがポツンと残ってるだけ。 簡素な部屋。 男の寝室なんてこんなものか。 ベッドの上は何もない。 ベッドマットもないのだろうか。 あ、違った。 ベッドに近づいて気が付いた。 このベッド、介護用ベッドだった。 兄がケガをしてから使っていたものだろう。 布団はどこにあるんだろう。 この部屋には押し入れと言うものがない。 たしか押し入れは1階の客室にあったな。 階下に降りて行くと 店の扉が開いてベルが鳴るのが聞こえた。
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