石橋花菜編 《引っ越し》

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「こんにちはぁー! どなたかいらっしゃるんですかぁー」 店の中に入ってきたみたいだ。 自宅の方に向かって叫んでる。 「ハイハイ。どなたですか?」 ってか、東京だったらあり得ない。 閉店している店の窓が開いてたからって 勝手に店の中に入って来るなんて。 「あっ!し、失礼。 由梨ちゃんでも来てるのかと・・・」 奥から私が顔を出すと 慌てたように早口で喋ってる。 「いえ。由梨ちゃんの・・・ 一応叔母に当たります」 「叔母?へ?」 由梨ちゃんの名前を知ってるくらいだ。 彼女の年齢ももちろん知ってるのだろう。 その彼女と私の年齢差を計算しているのか 目があっちこっちと彷徨ってる。 「由梨ちゃんの父親と私、 年齢が離れているので・・・」 うちの内情を知っているのかわからないから 無難にそこだけ説明しておいた。
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