石橋花菜編 《引っ越し》

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「えっと・・・。失礼ですけど・・・」 「あっ!ゴメンゴメン。 絶対不審者だよね、俺」 「そんなことはないですけど」 そうですね、とは言えない。思ってるけど。 「俺は正面の店の店主です」 「正面?喫茶店・・・じゃなくてカフェの?」 「喫茶店を知ってるの? あ、そっか。ここの娘さんなら当然か」 「ま、まあ・・・」 ここの娘だと言い切ってもいいのか。 由梨ちゃんに怒られたのに 未だにそこのところに拘ってる私は 返事に口ごもってしまっていた。 「もしかして引っ越してきたの?」 「あハイ。しばらくご厄介になろうかと」 「ご厄介って。キミの実家でしょ? そう言えば俺も名前を言ってなかったけど キミの名前も訊いてなかったね」 「そう言えば。石橋花菜です」 「三上修司です。あそこで昔やってた 喫茶・シャボンの孫になります」 息子さんを通り過ぎて 孫が後を継いだのか。
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