石橋花菜編 《引っ越し》

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「引っ越し業者は?これから?」 店の中や外をキョロキョロする彼に 「あ、荷物はこれだけで・・・・」 扉近くにポツンと置かれたキャリーを指さし なんだか恥ずかしくなってきた。 引っ越してきたと言う割には 荷物がこれだけって。 「へえ。荷物がいっぱいなら 俺も手伝おうと思ったんだけど」 「すみません」 思わず謝っちゃってた。 「じゃあ、何か手伝うことがあったら 店の方にいるから声をかけて?」 「あ、大丈夫だと思います。 ご好意だけいただいておきます」 「・・・・・・そう?」 変な言い方だっただろうか。 声のトーンが下がった。 ちょっと居心地悪そうに 最後は手を上げて帰って行った。
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