石橋花菜編 《引っ越し》

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窓も全開し布団も干し 空気の入れ替わった家の中は 来た時よりかは不快感がなくなった。 干した布団に寄りかかり ここから見える街を見渡した。 商店街は見えない。 1本道を入って行かないとだから 建物が邪魔しちゃってるようだ。 あまりいい印象がない商店街。 商店街自体のじゃなくて そこにいた人たちの、だ。 私がここに来たのは中学2年の時。 一番多感の年代だろう。 すでに出来上がっていた継父たちの人脈。 そこに割り込んで行ったのは 母と私だけ。 割り込みしたばかりで すぐに母がいなくなってしまい 私ひとり、この場に取り残されてしまった。 喪失感、疎外感。 母を亡くした私に襲ってきたのは つらい生活だけだった・・・。
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