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「はい、落ちたよー」
「あ、ありがとうございます…」
立ち去りたい……!
今すぐにでも走って逃げてしまいたい……!
それが無理なら、こいつを投げ捨てたい。
じっと私を見つめてくる、薄汚れたドナルド。
それまでは愛着の塊だったそれが、この瞬間から憎たらしささえ感じ始めていた。
「ねね、○女子高だよね?何年生ー?」
友達Bは、相変わらず私の前で優しそうに微笑んでいた。
一方、先輩はと言うと、同じ学校の女の子たちに囲まれていた。
やっぱり人気あるよね……
私の学校は特に校則が厳しかったので、本当に昭和時代の女学生って感じだった。
同じ私立でも、校則の緩めな他校の女子はメイクもして、髪も巻いて。
いかにも、“女”アピールがすごかった。
地味な昭和風の私は、あまりにも場違いみたいで。
友達Bさんにお礼を伝えて、その場は帰りました。
その日の夜。
先輩と同じ高校に通う男友達から連絡がきた。
「○○先輩、知ってる?」
誰やねん。
イケメン先輩ではないのは確か。
「お前のきったねードナルド…」
は?!
○○先輩は、友達Bさんのことでした。
「すごく落ち込んでたみたいだから、先輩のドナルドあげようか?って」
いらねぇ……
友達Bさんのはいらない……
いや……待てよ?
これは大好きな先輩に近づくチャンスでは?
友達Bさんを踏み台にして、近づくチャンス!
ゲスな魂胆から、私は友達Bさんと連絡先の交換をすることになりました。
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