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宏は傘を投げ捨て、何度も跳ねた。
「はは…、軽い軽い」
「うれしそうだね。私もうれしい」
宏はおさねの髪を手ですき、おさねは後頭部にくすぐったさを感じた。また、くすぐったく感じる自分が愛しくてしょうがなかった。
「綺麗な黒髪だね。おさねちゃんの言ってた通りだ」
「宏君も綺麗な足してる」
そう言いながらおさねは靴と靴下を脱ぎ捨て、水たまりに高く飛び込んだ。それから、照れくささを誤魔化すように笑った。
「子供みたいだな」
「本当は全部脱いで裸になりたいくらい」
残り時間はあと23時間30分ほど。まだまだやりたいことが沢山ある。この一日の為に二人は、膨大な資金、寿命までの残り全ての生命力を費やしていた。
「そうだな。自分の身体見たいしな」
切断されてない両足。目に映る眩い光。正常な痛覚やこしのある艶やかな髪。自由な性。全てが光に満ちている。
二人は顔を見合わせて笑いあうと、全裸で駆け出した。
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