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「次か」
桜太は周囲の評価と自分たちの変人具合を考えて、七不思議をこのまま解明することに意味があるのかと悩んでいた。このままでは新入生獲得どころか、あいつらやっぱり変人だったなと納得されて終わりそうだ。
そんなことを考えていても学園長の話は一向に終わる気配を見せず、結局45分も話していた。おかげで軽い熱中症を発症した生徒5人が保健室送りとなってしまったのだった。しかし幸いにもその中に科学部のメンバーも悠磨もいなかった。
だが次もこのままでいいのかは解決されていない。長い終業式から解放されて化学教室に集まった8人は、ぼんやりする頭を何とか働かせることになる。
「まあ、話題にはなったよ。世間的認知度は上がったわけだ」
科学部の生贄、芳樹が今日もまとめようと意見する。
「眼鏡集団が音楽室で三平方の定理を実践!ってか。もう俺たちが七不思議扱いされそうだぞ」
そんな生贄に食らいつくのは当然のように亜塔だ。しかも身も蓋もないことをあっさりと言ってくれている。まとめようとした芳樹は亜塔が口を開いた時点で諦めて黙ってしまった。
「でもまあ、目立たないという問題点はクリアですね」
この話の端緒を受け持っている優我はそんなことを言って責任逃れしようとした。怪異現象解明がここまで捩れるとは想定していない。そんな優我の手にはしっかりハイゼンベルクの不確定性定理の本が握られている。やはり自分の興味優先なのだ。
「目立つというのではれば、このままずれたことをし続けるのは有効な手段だろう。そもそも科学者のすることなんて世間から見ればずれたことばかりだ。だが理解してもらうには注目してもらわないと意味がない。ということは、その注目した奴らの中から変人を抽出すれば問題ないよ」
莉音が建設的なのか投げやりなのか解らない意見を述べる。
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