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「まあ、あれは例題だったんだ。深く考えるのは止めよう。それより続けるんだろ?次はどうする?」
どうやら話し合いは終わったということで、芳樹は次の議題に移ることにした。
「そうですね。情報をくれた友人はどうやら図書室の謎を解決してほしいようですし。これはどうですか?」
桜太は先ほどの過酷な終業式を思い出しつつ言う。悠磨はあれでも多分気にしてくれているのだろうし、解決するのは悪くないと思える。ただし、あのにやにや笑いだけは許せないが。
「勝手に本が落下するというやつだな。これはどう考えても物理現象だろう」
物理系頭脳の莉音が即座に反応する。彼の頭の中にはすでに万有引力の式が浮かんでいた。
「棚の傾きではないのか?しかし一部だけという話だったよな」
楓翔も問題点の検証を始めた。解けそうな問題を前にしてじっとしていられないのは科学部である以上仕方がない。
「その本が載っている棚板だけが問題なのかもしれないぞ。微妙な歪みが作用しているのかもしれない」
迅も補足するように意見する。どうやら数学パズルが解き終わったらしい。
「けれどもそれなら悠磨にも解ける気がするんだよな。自分で検証してみたらしいし。何が問題なんだろう」
悠磨がわざわざ嘘を吐くとは思えないので、桜太は問題が難しいはずだと思っている。
「つまりこの場では答えが出ないわけだ。諸君、取り敢えず図書室に討ち入りだろう」
亜塔が妙な陣頭指揮を執り始めた。問題を解決する場に討ち入ってどうする気なのか。どうにも間違っている気がする言い方だ。
「図書室に行くにしても、まだ閉まってますよ。開くのは1時からです。今はまだ図書委員も昼食中です」
時計を確認して優我が指摘した。時間は12時を少し過ぎた頃だ。優我は普段から図書室を頻繁に利用しているので夏休み中の開室時間にも詳しい。
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