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私はすぐに狗郎を見つけた。
歩道橋から遠くを見る狗郎を。
狗郎の周辺の空気は焼けた臭いに火薬が混じった臭いがした。
私は狗郎に近付きながら狗郎の視線の先をみた。
そこには多数の緊急車両と煙が上がっているのが見えた。
そして狗郎は…無表情だが目の奥に強い怒りを抱えているのがわかった。
咲姫
「狗郎?今日の夕飯は豪華だぞ?」
狗郎
「………」
そう声をかけたが狗郎はだんまりだったよ。
一華と影狼は眠っているようだった。
咲姫
「狗郎?今日は何の日かおぼえているか?まぁ毎年も付き合わせているから忘れるわけないか?」
狗郎
「………」
咲姫
「正解は私達が出会った日だ!だから…早く帰ろう?実はまだ料理が途中でな!」
私は精一杯の笑顔でそう狗郎に言った。
すると狗郎が私に顔をむけた。
だがそれは…もう私の知る狗郎じゃなかった。
その時、私は初めて神に祈った。
どうか狗郎と出会った頃に時間を戻してくれと。
どうか私達の幸せを返してくれと…そう祈った。
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