磔の咎人

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狗郎 (この手…俺のか?) 疑問にも思ったが、桃華の胸を鷲掴みにしているのは、紛れもなく俺の手だった。長時間桃華が腕に乗っていたからか、右より感覚が鈍くなっていた俺の左腕は俺の意志ではどうにもならない。 だが、そこで気がついた事もあった。 狗郎 「おい…二人とも起きてるだろ?」 杏華 「ギク…グーグー」 桃華 「スヤスヤ、スヤスヤ」 やはり起きていたのか、杏華と桃華の寝息は不自然なほど聴こえるようになった。 狗郎 「いや、バレバレだろ」 杏華 「…あからさま過ぎましたか?」 桃華 「杏華姉様、流石にグーグーはないと思います。ですよね、兄様?」 狗郎 「桃華の寝言も大概だ。てか二人してなにやってんだよ…こんなところ一華にでも見られたら殺されるぞ」 杏華 「主に狗郎がね」 狗郎 「わかってんだったら早く自分の部屋に戻れよ。見られたら二人も気まずい事この上なしだろ?」 桃華 「え?そうでしょうか?」
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