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狗郎
「情報ってのはアポフィス内部にスパイでもいるのか?」
転げ落ちたままでは話しづらく、俺はクリスティに支えてもらいながら椅子に腰をおろす。正直言って最近あまりにも色々なことがおこり過ぎてストレスでハゲそうだ。現に椅子から落ちてしまう程、目眩をおこすくらい俺の身心は疲弊している。
イエス
「いや、アポフィスの構成員を捕らえて尋問して手に入れた情報だ。スパイを送ろうとした事もあったが…失敗に終わっている」
狗郎
「…そうか」
イエス
「今話すべき事はこんなとこだ。よければ帰りたいんだが…いいか?」
これ以上なにかとんでもない話しが飛び出すと俺がもたないと思い、オッサンに判断をあおぐ。オッサンは俺の言いたい事を察知し、一度だけ頷いた。
狗郎
「帰っていいぞ。送っていってやろうか?」
イエス
「いや、いい。お前が一緒だと女が皆そっちにいきそうだしな」
狗郎
「まったく…懲りねえ野郎だな」
イエス
「ま、そういう訳だ。近々連絡する…その時まで体調整えておけ」
狗郎
「ああ、わかったよ。悪かったな転けて」
イエス
「お前はよくやってる」
意外と面倒見が良いイエスは、ドアまで歩くと振り向き、ジッと俺の目を見た。
イエス
「狗郎…お前ちゃんと無線機持ち歩けよ!?連絡するって俺は伝えたからな!?」
狗郎
「あ、ああ…わかった」
今一しまらないイエスの去り際に、俺達は苦笑いで見送った。
磔の咎人 終
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