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だが一華はそれだけでは終わらなかった。
白く艶かしい脚が、黒く幾重にも重なる布生地をかき分けて東堂を襲った。
ドゴッ
一華に蹴りを入れられた東堂は吹き飛び、床にキュキュッと音をたてとまった。
ずっと音をたて歩く事がなかった一華がカツカツと足音をならし東堂に近づく。影闇を納刀し左の腰にさしている。右手には東堂の愛刀である界王が握られているが、界王からは霊気がまったく感じられない。
その姿に恐怖するがさらに驚く光景を東堂はみた。
東堂が左肩から右の腰まで斬ったその跡は、蜃気楼のように揺らめき、黒い霧のようなものが跡を消していっている。
そして真横に斬ったと思った腰の辺りは何も変化はなかった。
真横に斬ったと思った時にはすでに東堂の手首はその腕からは離れていた。
東堂は立ち上がろうと体をおこし両膝をつく。
トン
その時、東堂の目の前椅子がおかれた。
見上げると一華が先程と違い、薄く微笑んでいた。
その姿に東堂の恐怖は加速する。
次の瞬間。
ダンッ!
狗郎・影狼・東堂
「!?」
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