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「嘘・・・でしょ?
かず兄が死んだなんて、嘘だって言って!。」
「事実だ。彼は以前から賭博で多額の借金をつくり、悪徳金融から金を借りまくって首が回らなくなったようだ。
自分に多額の生命保険をかけていて、車ごと崖から落ちた。彼はここ最近、精神的にも不安定だったらしいから。
奇跡的にも車もろとも爆発することは無かったが、投げ出された弾みで、複数の骨折と内臓に損傷が報告されている。
病院に運び込まれた時には既に虫の息だったそうだ。」
そんな。か、かず兄が借金まみれだったなんて・・・。
刑事からの話を聞いてその場にへたりこむ妹。
その時、オペ室がにわかに騒がしくなった。バタバタと走る術着を着用した男性が、既に手術室を後にした執刀医を呼び止めにかかる。
「先生っ、先生!! 心肺停止状態だった患者の心拍数が脈打ちはじめましたっ!!」
「な・・・、心停止からもう、時間は経過しているはずだが、すぐ向かう!!」
妹は悲痛な叫びを上げた。
「嘘・・・でしょ。
かず兄が生きてるなんて、誰か嘘だと言って!!!」
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