紫陽花の陰から

2/3
前へ
/3ページ
次へ
「やっと晴れたかぁ。う~ん!」 B子は大きな独り言と共に、空を仰いだ。 頭上に広がるは梅雨明けの空と……何か黒い物体。 それはB子に向かってぐんぐんと加速し―― 「どいてどいてー!!」 「まさか空から女の子が降ってくるなんてね~。アニメみたい」 「ラブストーリーは突然に、だよ」 結局、田んぼに豪快なダイブを決めた二人。同じ釜の飯ならぬ同じ田んぼの泥を食った二人は、あっという間に打ち解けていた。 「私たち今日から友達ね! イエーイ!」 青空の下、二人の手がパチンと重なった。 「……我ながら大変な妹を持ったな」 A子の兄は紫陽花の陰から一部始終を見ていた。 「友達作るのにヘリ出すとかどんな頭してんだよ」 妹への不満を募らせる兄だが、そんな彼が見張りを引き受けた理由。それは…… 「パンツ見えたっ!」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加