第1章 紅に舞う不死鳥

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それはある日照りの強い夏の日に起きた・・・。 「今日も暑いなー」 学校への通学路で、俺、【飛紅 朱雀】(ひぐれ すざく)はいつものように隣にいる幼馴染に聞こえるようにそうぼやいていた。 「そんなの当たり前でしょう?夏なんだから。朱雀はいつも夏になるとそれ言ってるよねー」 そう言って、俺に比べて全く暑そうな顔一つせず、返ってそんな俺を見て笑っているこの女の子の名前は【水島 涙】(みずしま るい)。俺の幼馴染だ。 「そーゆー涙は全然言わないよな、暑いって、人生に一回は言う言葉だと俺は思うんだが・・・」 俺は、腕をダラーンとさせながら、ベロを出し、どっかにいそうな喉カラカラの犬の様な状態になりながらそう言った。 「何言ってるの!私だってそれくらい言いますー!寧ろ、朱雀は言い過ぎ!」 そう言って、涙は目の下を引っ張りながらベロを出し、あっかんべをしてくる。 「はいはい、そうですね」 俺が涙の正論を流した後、涙が「しょうがないなぁ」というようにため息をついて肩から下げている通学用のバックから何かを取り出す。 「はい、これでも食べて元気出しなさい!」
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