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――振動。
かたかた、と食器棚が鳴る。
「ここにきて、なんだけどさ」
「うん?」
とあるマンションの一室。
断続的な振動が続く部屋の中央。
一組の若い男女が背中合わせで座っている。
名前は伏せておく。
仮に男をエヌ氏、女をジー女史とでもしておこうか。
「なんかやり残したこととか、あった?」
エヌ氏が女史に訊ねた。
「……あー、どうだろ」
ジー女史が無気力に返す。
振動する部屋の中、彼女は天井を見上げてしばし黙考し、
そして、答えた。
「むしろさー、なにかできたのかな、あたしら」
「あー、それ聞いちゃう?」
返ってきた質問に、エヌ氏は苦笑。
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