ウッカリ調教されちゃった暁には……

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物語冒頭を朗読し終えると、 ふたりの場面に入ります。 [前略] (抵抗するカタリーナを押さえつけ 見合いするペトルーキオ) 「やあ、ケイトーーというらしいな」 小太郎くんの声は少し低くて、 大きくはないのによく通る。 私もあわてて後を追います。 「えと……き、聞きそこない、ですわ。 ちゃんとした方なら、 み、皆さんカタリーナと……呼びます」 「は、嘘をつけ。 みな単にケイトと呼んでいるぞ。 時には大女のケイト、 意地悪ケイトなどと。 しかし聞くと見ると大違い。 すぐにでも食べてしまいたいほど 美しいケイト、 もはや我慢もならぬ。 どうあっても私の妻に 据えたいものだと思うて こうして足を運んだ次第」 え、な、なに。 すぐにでも食べてしまいたいって、 この女の人を……?  どういうお話なのよ。 でも考える間もなく 続きを読むしかなくて。 「運んできたですって? けっこうなこと。 貴方は家具かなにか?」 か、家具?なぜそんな発想になるの……。 「ほう、家具ならなんとする」 「折り畳み式の椅子ってとこね」 「椅子、それは良い。 椅子なれば我が上に乗るがいい」 「乗るものは駄馬よ。それは貴方」 「上に乗るのは女と決まっている。 それがお前だ。 しかしそんな細腰では 物の役に立ちそうもないな」 はあ……? 全然ちんぷんかんぷんだけれど、 なぜだか頬が熱くなる……。 何でこんなに恥ずかしいのかしら。
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