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(ペトルーキオがカタリーナの顎を引いて)
「元気を出せ、
笑ってみせよ……ほらこの通り、
私が自ら料理してきたのだよ」
(といって料理を手に載せ差し出す。
カタリーナ夢中で食べる)
いやいや待って、待って、
顎を引かれる ってだけで
もうもう私 心臓がっ!
ゆ、指が、小太郎くんの指が、
私のあごあご顎を本当に引いてくる。
それで何だってそんな
熱っぽい視線を送ってくるの!?
ねえ、なに、そしてなに、
小太郎くんの手の上に置かれた料理を
犬食いしろですって?
う……嘘でしょ……
私は半泣きで演技しました……。
「そうだ。お前は
私の手づから与えた物だけを食み、
私が黒と言えば白を黒と言い、
私と共に朝日を見れば良い」
多分ひどいこと言われてるのよ、
私いま小太郎くんに
ひどいこと言われているのだわ。
「……は、はい……」
いつの間にか、
ほんとの涙が流れてきて……。
「なんだ?お前という女は
せっかく私が作った料理に
礼も言わぬのか。
それは口に合わぬということだな。
ふん、せっかくの苦労が水の泡か。
(皿をひったくり)おい、下げてしまえ」
「……お、お願いです、もっと下さい」
なんて台詞なの、本当になんて台詞!
「ならばまず礼を言え」
「……ありがとうございます」
「よろしい。やればできるではないか」
(カタリーナに口づける)
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