31人が本棚に入れています
本棚に追加
(ペトルーキオに促され、
カタリーナが話し始める)
「まあご婦人のみなさま、
怖い顔はおよしになったら。
夫は自分の主人、命、
守護神であり君主ですわ」
な、なんて極端な表現なの。
読みながらも驚いて、
こちらが目を見開いてしまいます。
「そうでしょう、貴女のためを思い、
貴女を楽にさせたい一心で
身を粉にして働いている、
海でも陸でも。
おかげで貴女は家の中で安心して
微睡んでいられるのです」
な、なるほど……。
父母の事を思えば一理はあるけれど。
「なのに夫はなにも見返りを求めない。
愛情と、優しい顔と素直な心、
ただそれだけ。
[中略]
その従順の果てにもし
旦那様が望むなら、
私は踏みつけられても……かまわない」
えっ……と、いま私なんて?
踏みつけられてもかまわない?
そう……そうね。
確かにもう私……小太郎くんになら……。
「よくぞ言った、それでこそ我が妻。
それではいよいよ最初の夜だ。
は、みな一緒に結婚したが
賭けに勝ったは私ひとり。
君たちは泣き寝入りというわけだな、
ハッハハ!では失礼、おやすみ」
(カタリーナを抱き抱えて去る)
[ 完 ]
そういわゆる
お姫様抱っこというものを、
おとぎ話に聞いたことはあるけれど、
されるのなんて私 初めてで……
当たり前だけれども。
演技が終わっても
胸の動悸は一向におさまらなくて、
まともに彼の顔なんて
見られませんでした。……
最初のコメントを投稿しよう!