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3年前、中秋ーー。
この頃、まだ互いに12歳で
同じ学級だった私たち三人は、
やっぱり同じ学級の小太郎くんに
それぞれ想いを寄せていました。
歳のわりに大人びた外観をしていて、
背は少し高い方だった彼。
やや長めの黒髪を
いつも洗いざらしにしていて。
かと思えば
凄く下らないことでケンカしたり
授業中は外ばかり眺めていたり、
まあよく分からない部分も多い。
でもその得体の知れないなにかが、
単純明快な男子たちの中で突出して
魅力的に感じられたのかもしれません。
それぞれに想いを寄せていた、
と言っても、
恋の何たるかなんて
まるきり分からない私たちだったので、
最初は何となく気になるとか
ただ憧れに近いものだったと思います。
でもそんなほのかな幼心を、
チカラワザで奪い取られるような
運命の事件が起こり……。
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