第三章 洗濯物

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洗濯物を終えると、14時少し前。 「終わった?お疲れ様。じゃあ、出かける準備して」 彼は悪そびれる様子もなく急かしてくる。 怒ってはいけないと自分の中で言い聞かせ、着替え始める。 いつもより濃いメイク。 アイラインもしっかり引いて、今日はお気に入りのあの靴を… そうだ。 汚れたんだった。 この前ワインで汚してしまったことを思い出し、ちょっと凹んだ。 そういえば、あの日出会った彼から飲みに行く誘いを受けているんだっけ。 これは浮気なのかな? 不思議なことに女友達に浮気された話をすると自分のことのようにカンカンになって怒ってくれるが、その次に出る言葉は大抵「次行こう」だ。 終わらせてないけど、次見つけたらでいいじゃん。 と、よく言われる。 女も大概恐ろしいものだなんて、他人事みたいに考えちゃうあたり、私っておばちゃんよりもおっさんて言葉が似合うと思う。 「今日はどこに出かけるの?」 出かける準備が整い、彼に問いかけた。 「中野散策して、夜飲み屋なんてどう?」 「わかった。洗濯物は…いっか。あ、私明日友達と飲みだから」 「はいよ」 浮気だろうとなんだろうと、もういいかな。 だって、終わるんだし。 「あと、時間あったら靴買いたいの。新宿に寄ってもいい?ルミネの地下のお店を見たいから」 「じょあ、新宿だけにする?」 「中野の飲み屋は魅力的」 「はいはい」 私も大概わがままだけど、これ位良いよね。
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