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白い顔に痩けた頬。病特有のそれらが、少女をはかなくさせている。
少女の名は、綺蝶という。幼い頃から身体が弱く、日々のほとんどを屋敷の中で過ごしてきた。
そんな自分のせいで、父や母にいらぬ心配をかけているのだと内心で申し訳なく思い、同時に己を厭ってさえいた。
「それは真か。戦の最中も、そなたの身を随分と案じていたのだ。のう、暁信」
と、定春は傍に控えて座りし者へと視線を移した。
そこには、綺蝶と変わらぬ年齢と思しき少年の姿。主君の言葉に同意するかの如く、静かに頷いてみせた。
「最後にお会いしたのは二月前。その後お変わりはないか、もしや体調を崩されてはおらぬかと、日々案じておりました」「……ありがとう、ございます。暁信様にまで御心配をおかけしていただなんて……。それに、久方振りにお会いするというのに、このような格好で……」
申し訳ありません、と頭を下げた。
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