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「話はついた。旧校舎で石井さんと会う。美鈴ちゃんも来てくれ」
旧校舎へ歩いている私は外浜君の鋭い目を、チラチラと見ていた。
難しい問題なのは解る。
でも、私は結果だけが早く知りたい。
そう。外浜君が私に気付くこと。
廊下の女子たちが外浜君のことをずっと見ていた。
旧校舎は古くはなく、つい最近まで使われていた清潔感のある場所だった。
石井さんは、手前の教室の中央に静かに立っていた。
外浜君は誰も見たことのない。真剣さが宿る鋭い目をして、石井さんに向かった。
「何度か教室で他愛無い話をしたり、同じ部活で君を、僕は今まで見ているだけだった。あれから、僕はいつの間にか君が好きになっていた。幼馴染みの清水君とも話した。難しいのはわかっているつもりだ。でも、解決しなきゃ。何もできない。告白するよ.…」
外浜君は、持っていたラブレターを地面に投げ捨てた。
石井さんは外浜君の顔から目が離せないかのように、口を閉じ硬直していた。
「君が好きだ!」
私は精一杯。外浜君がフラれて私に気付いてと祈った。
私は誰よりも外浜君が好き。
それは、ずっと変わることがないはず。
占い小屋で私は溜め息を吐いていた。
涙が次から次へと漏れ出した。
外浜君の学校中が震える程の勇気に石井さんが完全に参ってしまった。
好きになったと。
私の作戦は尽く失敗した。
ふと、水晶玉を覗くと、そこには……。
「嘘……でしょ……」
完膚なきまで敗れ去った私と清水君が、昼間の公園のベンチで、キスをしていた。
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